[創考]
まず最初にご希望の柄を全体がわかるように紙に描きます。これが創考です。この時にはまだ正式ではありませんので大きさや取方などを調整していきます。柄付けをする一番大切な作業です。ここで妥協をすると、せっかくの誂えが台無しになってしまいます。出来るだけ焦らずにじっくりと図案を考えましょう。
[下絵]
お選びいただいた生地に創考で決まった柄を描き写します。白生地の上ですのでできあがりの雰囲気がなかなかわかりにくいです。お好みの御寸法に合わせて柄の高さや位置をここで最終調整をします。大きさも創考の時点ではおおよそしかわかりませんが絵羽物なら身体につけて確認することもできます。
[糊糸目置き]
この度ご覧になっていただいております着物は糸目友禅ですので、生地に描いた下絵のとおりに糸目糊を置いて柄の部分を伏せていきます。右の写真の菊の花の中の〝♯〟のようなものが黒っぽく記してありますが、この部分は染疋田が入るということをあらわしています。
[地色染め]
糊置きが終わりますと今度は地色を染めていきます。糊で伏せた部分は白く残ります。この時にしっかり糊が置けていないと、その部分に染料がにじんでしまいます。色の染め方には、引き染め(刷けを使用して色を染め上げる)と炊き染め(染料の入った釜の中に入れて炊いて染める)があって右の写真の着物は引き染めで染められいます。
[染料]
糊置きが終わりますと今度は地色を染めていきます。糊で伏せた部分は白く残ります。この時にしっかり糊が置けていないと、その部分に染料がにじんでしまいます。色の染め方には、引き染め(刷けを使用して色を染め上げる)と炊き染め(染料の入った釜の中に入れて炊いて染める)があって右の写真の着物は引き染めで染められいます。
[友禅]
地色も染まり伸子で生地を張り、いよいよ柄の中に彩色をしていきます。この時点では糸目糊が残っています。柄付けと同じようにこの友禅の配色で雰囲気が随分と変わります。現代的な模様なら現代風にと色を差していきますが、古典的な感じであれば長年の経験や実績のある販売員や友禅士にお任せになられるのも一つの方法です。
[完成]
友禅が完了したあとは蒸しをかけたり水洗したりという工程があります。申し訳ございませんが本サイトでは省略させていただきます。 さて、地色が染まり彩色もできましたら後は箔加工や金くくり、また刺繍を入れたりします。後はお仕立をして完成です。
[紋意匠図]
織物の設計図を紋意匠図といいます。デザイン、彩色した図案をもとに紋図をおこします。右の写真は図案を拡大して方眼紙に写し取り、配色を塗り分けどのような組織で織っていくかを示すものです。この紋意匠図がもとになり次の工程の紋紙をつくるための指図書となります。きものと同じでまずは下絵を描いて柄を決めていきます。柄が複雑になればなるほど、この工程に神経を使います。
[紋紙]
紋紙は厚紙のような紙にプツプツ穴があいているものです。紋図によって示された柄を紋紙に経糸の上げ下げを指示する穴を彫って、彫り上がった紋紙をキャタピラーのようにつなげていきます。右の写真は紋紙をジャガードにセットしているところです。写真ではわかりづらいのですが、ジャガードが高い位置にあるので、結構大変な作業です。
[紋紙]
紋紙は厚紙のような紙にプツプツ穴があいているものです。紋図によって示された柄を紋紙に経糸の上げ下げを指示する穴を彫って、彫り上がった紋紙をキャタピラーのようにつなげていきます。右の写真は紋紙をジャガードにセットしているところです。写真ではわかりづらいのですが、ジャガードが高い位置にあるので、結構大変な作業です。
[機(はた)]
この部分が帯の柄を織っていく装置です。中央に縦にぶら下がっているヒモのようなものがジャガードからおりてきて経糸の上げ下げを指令し、そこに緯糸を通して織り上げていきます。中央に横にグリンで張ってあるのが経糸です。緯糸を通し織り上げていくのですが、その緯糸の目をまっすぐに整える役目をするのが、〝筬(おさ)〟といい、その筬をぶらさげ支えてある部分を〝金框(かまち)〟といいます。そして手元の織りはじめから巻きってあるドラム状の部分を〝ちまき〟といいます。
[糸染め]
帯の地の色や柄の配色に応じた色を糸の段階で染め上げます。織物は染物と違い糸目を置いて彩色していくのではなく、緯糸で柄を織り出していきます。糸染は紋織物にとってとても重要な工程のひとつです。指定通りの色に糸を染め上げる為には、微妙な色の違いを認識しなければいけません。ですから豊富な知識と経験が必要になってきます。帯の長さが約4mほどなので織りあがるまでは大変な労力です。先染の織物にとって、図案とともに大切な作業です。
[糸巻き]
染まってきた糸を整理して糸巻きに巻いていきます。この糸巻きはよく着物の柄になっている〝 糸巻き 〟そのものです。染色された糸は綛(かせ)の状態なので使用するには必ず舞輪(まいわ)から糸枠に巻きとっていきます。整経や緯巻の工程のときに扱いやすいようにする為です。
[杼(ひ)]
染まってきた糸を整理して糸巻きにまいていきます。ここから柄を織り出していくために使う〝杼(ひ) 〟に糸を取ります。右の写真の糸を巻きとってあるところは〝竹管(くだ)〟といいます。この杼の使用数が増えれば増えるほどに多色使いの複雑な織物になってきます。染・織の世界は本当に奥が深いものです。
[機織り]
ここから柄を織り出していくために使う〝 杼(ひ)〟を左右に動かし模様を織りだしていきます。機の足元には踏木と呼ばれる棒が数本ついていて、これを踏み綜絖を動かして、経糸を上下に操作して緯糸を通していきます。右の写真は夏の帯を織っている様子で〝ぬれぬき織〟という織り方で管を濡らしておいて緯糸が乾燥しないうちに織り上げるもので大変手間のいる織り方です。濡らしておくことにより糸についている膠(にかわ)質のゼラチンが溶けて経糸と緯糸をしっかりからめ、きれいに目の揃った絽や紗の作品になります。
[完成]
織人の永年の経験と技が織り成すすばらしい作品の完成です。普段何気なく目にしている帯や着物ですが、本当に大変な時間と労力が費やされ日本の伝統、文化を継承し守ってこられた職人さんによって生まれた作品です。今、お持ちの作品やこれからお求めになる作品も、どうぞいつまでも大切になさってください。 もっと詳しくお知りになりたい方は、 西陣織工業組合のホームページをご覧下さい。